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episode - 1 「開幕!お笑いマスターへの道!」

サハラ

2018-12-30
文章
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(シナリオ:共同者様『開幕!お笑いマスターへの道!』2回分)

九月の事。淡々と続く日常の中で、いつも通りに就寝したとある晩。
不特定多数のひとはとても不思議な夢を見た。 

それは、お笑い王国というお笑いが好きな沢山のピエロ達が暮らす国で、お笑いキングを決める試験へ、半ば無理矢理に参加させられるというものだ。
会場は学校の体育館のようなデザインの舞台があるホール。隣には望んだものはなんでも見つかる部屋のついた控室もあった。
その夢の中で望月恒介と朝霧美羽は、居合わせた他数名の人達と共に出会う。
二人は二度、その夢を見ることになった。

一回目は望月を含む十代の学生六名が呼び込まれ、足枷で繋がれたペアでお題に応じたコントを三回、披露するという試験を受けた。
朝霧は参加者ではなかったが、居合わせた事で皆に茶や菓子を運んだりと普段の仕事能力を生かして若者たちのサポートをした。
望月はこのお笑い試験にてギャグセンスを、一人の女学生により唐突に開かれたデッサン会で美術センスの無さを晒し、今までの人生で二番目くらいには該当する屈辱を味わった。
試験が終わると足枷が外され、皆は自由に動けるようになった。
試験を通し、試験さえ順応に受ければ特別危険性のない場所であることを理解してきていた事もあってだろう。
元々お笑い好きですっかり気分を良くしていた一人の少女の提案と、試験に居合わせていたこの世界の住民であるピエロの希望もあり、記念に皆で劇を行った。演劇内容は何故か昼ドラの修羅場再現であり、主人公と友人が会話をしているところに次々と複数の彼女が現れ、争い嘆くというものだった。
傍試験を観している身だった朝霧も誘いを受けて意欲的に参加した。
劇を終え試験の結果が発表されると、合格した一人がいきなり現れた大きく黒い腕に攫われかけた。
試験に合格した者はお笑いキングになり、次のキングを見つけない限りはここにいなければならないとの事だった。
恐怖を感じた一同は、既に利用可能になっていた現実へ戻る扉に向かった。
部外者でもあった朝霧は一目散に逃げてしまい、試験に参加していた残りの皆も散々と出口へと飛び込み、現実に戻った。

二度目はそれから少し経過した日の夢だった。
お笑い試験が開かれた会場に再び呼び込まれた望月と朝霧は、再び互いの顔を見合わせる機会となった。
元々目上への形振りを苦手とする望月は、彼女への対応を尚不得手とした。
彼の人間社会は2つのタイプへ綺麗に割れている。
構いたくなるような存在か、黙し認め時に敬意を抱く存在。
家族も仕事仲間もかつて友好のあった友人達も、皆そうだった。
後者が女であっても、彼女たちは認めざる得ないような引き締まった凛々しさを兼ねていた。
朝霧の身のこなしは仕事場でも出来た人物であると信頼を得るぐらい明朗さを持って隙のないもので有るが、しかしながら、女こども特有の愛らしい弱々しい姿と謙虚な態度は、仰ぐ対象としては到底華奢なものだった。
彼の見せる不慣れさは、朝霧の瞳に不器用で初々しい若者のように映っていた。
二人以外は真新しい顔触れの4人だった。
望月は普段着と化していた学校制服ではなく仕事時のツナギを身にまとっていた。
朝霧もやはりメイド服を着ており、警官、暴力団か闇金かの男、残る二人は小中学生程度の少女だったが、今回は仕事を持つ大人もいた。
内容はお題以外は前回と同じで、足枷で繋がれていた望月と朝霧はペアで試験に参加した。
今回は合格者は現れず、恐ろしい事態を呼ぶことはなかった。参加者に正義感を持った警官がいたこともあり、試験後に参加者達で本物のお笑いキングを探し出し、お笑い王国に真の平和を取り戻した。
試験前に小学生の少女が姉であった前回の参加者の一人を”何でも見つかる部屋”で呼び込んでいたのだが、お祝いムードで更に朝霧の関係者である薔薇園アイシャや、薔薇園の知り合いなども呼び込まれ、朝霧はみんなに料理を振る舞ってお笑いキングとの会食が行われた。
カレーとホットケーキを作ったのだが、少々失敗し、辛辣な意見ももらった。労いとして望月は”何でも見つかる部屋”で現在住む森で一番きれいに思える花を見つけ、朝霧に贈った。それに朝霧は歓喜し、華奢な腕をもって石鹸の香りと懐抱とを返した。

翌日、無事に夢から覚めると、朝霧はこの不思議な夢を日記に記す。
不可思議な夢達の体験は彼女の人生において、就職に次ぐ波乱で深い出来事であった。
また、地元民以外に他人と再会した試しの無かった望月には、朝霧美羽は印象深い存在として記憶に残つた。
ただ、これらはほんの除幕に過ぎない。

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