FC2ブログ

とある召喚士と異界の竜のお話

サハラ

2019-10-12
文章
2 COMMENTS

作者:朝霧作者さん
※とある曲の歌詞のパロディ。(の、別視点)
※いろいろ捏造あり


これは遠い昔の話。
人は皆魔力を持ち、召喚士や魔法使い達が大勢暮らしていた。
むしろ一般人の方が貴重なくらいである。
今回の話の主役はなんてことない、魔力をあまり持たない女性。
緑の長い髪をゆるく三つ編みにしたその女性の名はミウ。
彼女は周りからは落ちこぼれ召喚士と呼ばれていた。
それはなぜか?
もちろん召喚術や魔術の知識はたくさんある。
むしろそこは他の召喚士よりも優れていた。
だが致命的な欠点としてドジであることと、魔力が平均よりも多少衰えているところがあった。
魔力は眠れば回復はするが、鍛えることはできない。
さらには魔力を失えば死んでしまうので、一日にあまり召喚を行う事ができない。
それらが原因でミウは召喚を成功させられた事がなかった。

今日も朝起きて髪を梳かして三つ編みにし、家事をひと通り済ませて召喚を試みる。
目標は竜を召喚する事。
ミウはいつも緊張で詠唱を間違えたり、魔法陣を間違えたりとドジを踏んで失敗してしまう。…が、今日はなぜかいける気がした。
壁に魔法陣を描く。
大丈夫、魔法陣に間違いはない。
念の為に様々な分厚い本を開き、竜の召喚のページを開いて側にある机に置いておく。
そしてミウは肩の力を抜いて詠唱を始めた。
魔力が削られていくのを感じる。
長い詠唱を唱えたその時、魔法陣が空洞になりそこから竜…ではなく帽子を被った青年が顔を覗かせた。

「え…人、間…?」

普通の青年が身を乗り出したその時、空洞から複数の手が青年を空洞へと引きずり込もうとしていた。

「アオーン!アオーン!」

人語が喋れないらしいその青年は必死な形相でこちらに両手を伸ばした。
きっと引っ張ってほしいのだろう。
ただ、今のミウは愕然としていた。
今自分の目の前で起こっている事に動揺と戸惑いを隠せずにいたからだ。
そうしているうちに青年の片手は謎の手に掴まれ、段々と空洞も小さくなっていく。
そして最後には唯一伸ばされていた片手だけしか見えなくなり、空洞は閉じてしまった。
ブチリ。
嫌な音と共にその片手は床に落ち、その音でミウはハッと我に返った。
持ち主のなくなった手は人間の手から竜の手に変わった。
自分の魔力不足でああなってしまったのだろうか。
自分がもっとしっかりしていたなら、ちゃんとあの子をこちらに呼び出す事ができたのだろうか。
手を失わずに、済んだのだろうか。





あれから十数年の時が流れた。
ミウはまたあの青年に会うために、今度こそこちらへ呼び出すために、ずっとあの青年の召喚を試みていた。
ミウはもう百歳を超え、魔力もかなり衰退している。
そのせいだろう、今日もまた召喚は失敗した。
でも例え魔力を失ってもまたあの青年を呼び出したかった。
だから自身の全魔力と魔力の宿った道具一式を揃え、もう一度召喚に挑んだ。
詠唱を唱えまた魔法陣が空洞へと変わる。
するとあの青年が顔を覗かせた後に僅かに口元に笑みを浮かべ、こちらに片手を伸ばしてきた。

「アオーン!アオーン!」

また手が青年を引きずり込もうとする。
ミウはもう意識を失いそうで体もふらついて力が出なかった。
けれども手を伸ばして青年の手を掴んだ。
そして全身全霊で青年をこちら側へと引っ張る。
ドタン!という音と共に身体中に鈍痛が走った。
ぼやけた視界に青年が駆け寄ってくるのが見える。
よかった、彼を召喚する事に成功できた…という喜びと共に、もう自分の魔力がほんの僅かにしか残っていないことを悟った。
死ぬ前に今まで自分が得たものを彼に見せてあげたい。
そう思ったミウは短い詠唱を唱えて今まで自分が培った知識を全て彼に見せた。
伝わっているのかは分からない。
でもそれでも構わなかった。
意識がどんどん遠のいていく。

「アオーン!アオーン!」

その鳴き声を最後にミウの意識は絶たれた。



- End -


--- - 補足 - --
とある洋楽のパロディを書いてくださったそうです。
その曲は、本来は召喚される青年視点の物語らしいです。
原曲のお話では青年ではなくて、肉球のあるかわいい生物らしいですが、登場人物に合わせて色々カスタマイズして下さったとのことです。
このお話の青年(望月)は、人間に姿を変えられる竜で、異次元の洞窟に住んでいて、人間が好きという設定らしいです。
(鳴き声は犬のようですけど/笑)
そんな彼が、別世界の召喚士に召喚されるが失敗して腕を失いました。
それでも、長い年月を経た次に再び呼ばれた時には、お互いに今度こそ…と思いながら手と手を繋ぎ、召喚に成功できたようです。
ミウの命と引き換えに…。
スポンサーサイト



Comments 2

There are no comments yet.

匿名なお客さん  

望月君ワンワンヲw
ミウさんは死んでしまったんですか?
あと青年はどんな存在なんでしょうか?
なんの歌のパロディなのかも気になりますー

2019/10/13 (Sun) 01:28
サハラ

サハラ  

Re: タイトルなし

>匿名のお客さん
望月わんこですね。竜ですけどアオンです(笑)
そうですね、元は青年視点のお話らしくて、
やはりミウさん視点だとわかりにくい部分があるだろうと作者さんも仰っていました。
私が聞いて覚えている範囲になりますが、近々補足を加えておきます。
コメントありがとうございました。

2019/10/14 (Mon) 22:42

Leave a reply